音楽を奏でることが1番盛んな８月に、フェスなどで各地を飛び回っている中、鹿児島の特攻隊基地に行く機会があって、すごく感慨深いものがありました。
そんな中、僕のフェスにさだまさしさん（以下まさしさん）に出演してもらう機会があって、その時のまさしさんの言葉がとても胸に残っています。
8月は死者、先祖をお迎えして、また送りだして、過去にあったことを思い出す。そして、平和を願う月なんだ。だから、本当のサマーチューンはこういうものだと、精霊流しを歌われたことに僕は胸をうたれました。盛り上げるのがサマーチューンだと思っていた僕は、これが本当の夏歌ってものだと、そこで思ったんです。
その後、東日本大震災後に開催された「長崎から東北へ」というイベントに呼んでいただいて。その時に歌った2曲を長崎の皆さんが受け入れてくれた感覚がすごく温かかった思い出があり、長崎がすごく好きになりました。
原爆のこと、過去に長崎であったことを教えてもらうにつれ、自分の中では平和活動というものをちゃんと伝えていかなくてはいけないなと考えるようになりました。
そんな中で様々なご縁もあって、長崎から平和を伝える音楽祭、稲佐山音楽祭を開催することになりました。

まさしさんの「夏 長崎から」というイベントは20年やられていて。
それをまさしさんから受け継いだと思っているので、僕が目指すのはこの先まさしさんから受け継いで作った稲佐山音楽祭を20年続けることです。
今年で被爆76年を迎え、実際に当時の記憶がある被爆1世の方たちが少なくなっている中で、稲佐山音楽祭は「これからの世代につなげていくこと」「音楽が鳴っている間は平和だ」というメッセージを継承し続けていくことを目指しています。

みんなで一つのメッセージを発して音楽を奏でることで、親子3世代をつなげる音楽でありたいと思う気持ちがあります。
有事の際に真っ先に検閲が入るのが音楽と芸術だと、まさしさんに教えてもらったことがあります。
音楽が鳴っている間は平和が続いているという目安だと思って長崎で音楽祭を続けていきたいと思っています。

僕は県外の人間なので、長崎の皆さんが平和教育などで当たり前に知っていることを意外と知らないということに気づきました。
その時、このままだとダメだ、平和へのメッセージを世界に、まずは日本に届けなければいけないと思いました。
僕は、平和について教えてもらうという立場で長崎にこれからも触れていこうと思っています。

まず簡単にできることは、親や近所のお年寄りから過去に何があったのかという話を聞くこと。
その想いを受けついで、過去を反省し、自分たちは戦争の時代からの未来にいることを感じること、先人の歴史を知ることが大事だと思います。
これからの未来的な世の中の在り方として、争い合うのではなく、助け合うことに意識を向けることを、みんなで共有していくことが大切だと思っています。

長崎には大切なメッセージがある場所だと思っています。
僕自身が初めて長崎に行って、触れて感じ取った印象は、「静かなる祈り」を捧げる街だと思いました。
長崎の優しさ、温かさを含めて歴史と平和のあり方を僕は、稲佐山音楽祭を続けることでつないでいきます。
今後も続けていきますので来年の開催時にはぜひ皆さん、会場に来て一緒に長崎から世界へ平和を届けていきましょう。