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[コラム]上五島の牡蠣のこと。vol.1:生産者を訪ねて
夏の岩牡蠣と冬の真牡蠣を同時に味わう、
夢の時間を上五島の海と匠が実現。
牡蠣と言えば夏は岩牡蠣・冬は真牡蠣が通説。
大ぶりであっさりした岩牡蠣と、小ぶりだが濃厚な真牡蠣……人々は毎年、年に二度訪れる旬を待ちわびる。
しかし、ここ上五島では「岩牡蠣と真牡蠣を同じ季節に味わう」という、オイスターファンにとって夢のような食べ比べができることをご存じだろうか。
全国でも類を見ないこの「食べ比べ」は、岩牡蠣と真牡蠣が同時に水揚げされることを意味する。
それが、2月のこの時期なのである。
これは上五島の自然がもたらした偶然の産物ではなく、生産者の技術力によってこそ実現した努力の結晶であり、それを成し得たのが、株式会社マルオトの山田大さんだ。
「真牡蠣は全国的に10月~5月が販売期間で、2月頃に身が入ります。一方、岩牡蠣は通常夏場に出荷しますが、技術的に手を加えることで2月頃から身が安定し、長く水揚げできるようになったんです」
1年である程度育つ真牡蠣に対し、じっくり成長する岩牡蠣は出荷まで短くて1年半、長いと4年になるものも。
育てる期間が長いだけに手入れできるタイミングも多く、計画的な養殖が可能というわけだ。
株式会社マルオトで牡蠣の養殖が始まったのは約10年前。
「養殖初年度は身にばらつきがありクレームが殺到して。じゃあ、どうやって安定して良いものを作っていくか。試行錯誤してたどりついたのが『密度の調節』でした。牡蠣同士が密集しないような養殖方法です」
岩牡蠣の養殖方法は、貝の蝶番に一つひとつ手作業で穴を空け(なんと一日6千個!)、等間隔でロープに吊るす「耳吊り」を採用。
元々ホタテの養殖で使われる手法を代用したもので、骨の折れる作業だが、これにより牡蠣が海中のプランクトンを捕食しやすくなり、身が安定するようになった。
真牡蠣は全国的に広く行われているカゴ網養殖だが、カゴに入れる牡蠣の量を工夫。
通常の最大4分の1まで抑え、栄養分がむらなく行き渡るようにした。
実のところ、上五島は海が美しすぎるゆえに牡蠣のエサとなるプランクトンが少なく、養殖環境としては不利とされる。
しかし独自の養殖方法を編み出すことで他の産地に引けを取らない牡蠣を育て上げ、さらに手間と愛情を注ぐことで水揚げ時期のコントロールにまで至ったのだ。
「特に岩牡蠣は、作り手がどれだけ手をかけたかで身の蓄え方が変わります。
その身もすぐにはできないから、最終目標を何年後、と決めて養殖していく。子どもの教育と同じですね(笑)だから、可愛がりがいがあるんですよ!」
肝心の味やいかに。
潮通しが良い若松瀬戸で育つ牡蠣は貝柱がしっかりしており、そのシャキシャキとした食感と癖のないクリアな味が最大の特長。
独特の磯臭さがないため、牡蠣が苦手でもここの牡蠣なら食べられる、という人も多いそうだ。
産地別の食べ比べはあれど、同じ産地の岩牡蠣と真牡蠣を同時に食べられるチャンスは、そうそうない。
この時期を逃さず、夢の食べ比べにぜひありついてほしい。
〈取材協力/株式会社マルオト〉
真牡蠣
日本では室町時代から養殖が始まったと言われる真牡蠣。一気に産卵するため、一般には冬が旬とされる。クリアで癖のない味ながら、クリーミーな旨みが詰まった真牡蠣は、貝柱もしっかりしていて、歯ごたえも心地よい
岩牡蠣
時間をかけて育つ岩牡蠣は、数か月かけて産卵し、その多くは夏に旬を迎える。元々真牡蠣に比べて殻が分厚く、大きい岩牡蠣だが、他産地と比較してもさらに大ぶりなのが上五島産の特徴。一口では頬張れないほどだ
長崎市で上五島の牡蠣が食べられる!
【店舗List】
■居酒屋五平太 深堀本店
長崎市深堀町1-161-21/TEL:095-871-0952
■コバチ
長崎市鍛冶屋町5-89-1F/TEL:095-826-2591
■酒菜屋 ながれ
長崎市万屋町5-26-2F/TEL:095-824-1003
■寿司処・銀屋町まさる
長崎市銀屋町2-3/TEL:095-820-9888
■BAR nagare
長崎市浜町11-2-2F/TEL:095-824-6437
■BAR 三浦
長崎市鍛冶屋町1-17/TEL:095-873-1188
■老李 思案橋店
長崎市本石灰町5-12/TEL:095-822-3611
■老李 新地中華街本店
長崎市新地町12-7/TEL:095-820-3717
■老李 長崎駅前店
長崎市五島町1-3/TEL:095-828-0900
and more ……
↓その他にも上五島には美味しいものがたくさん!オススメ特産品も紹介中!↓
新上五島町観光物産協会 地域商社事業部
長崎県南松浦郡新上五島町有川郷428番地31
TEL:0959-42-5444
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