大人の世界に憧れて 夜の街へ繰り出さん
あっという間に今年も年末!日も短くなり、会社を出る頃には辺りもすっかり夜。でも、この12月の夜の街って、嫌いじゃないんだナ。クリスマスやお正月を前に、どこかみんなウキウキした様子で、イルミネーションやツリーで街がキラキラとしていて。まっすぐ家に帰るのが何だかもったいなくて、ついつい用も無いのにどこかに寄り道してみたり。行きつけのバーで、「いつもの」と注文するお決まりのアレはさすがにハードルが高すぎるけれど、絵に描いたような大人の世界に、ちょっぴり憧れがあったり…。
というわけで今月は、外国人バーやジャズバーがひしめき独特の雰囲気を醸す、佐世保の夜へ繰り出すことに!実は佐世保では、佐世保観光コンベンション協会が中心となり、〈SASEBO港まちナイトツアー〉という、夜の街を楽しむためのガイドツアーを毎週末開催している。外国人バーやジャズバーは初めてという人もこれなら安心!お店選びや最初のオーダーまで、信頼できるガイドさんが、スマートにアテンドしてくれるというワケ。それではいざ、ナイトツアーへ!
いつもと違う表情の 夜の佐世保をゆるりと歩く
夜のとばりが下りた、午後7時半。MR佐世保中央駅で、ガイドをつとめてくださる清水さんと待ち合わせ。ガイドの内容は通常、外国人バーかジャズバー、行きたい方の希望を訊き、一店舗目の最初のオーダーまでアテンドするというもの。この日は特別に、両方を案内していただいた。
「まずは夜の佐世保を歩いてみましょう。しっかり、おなかを空かせてくださいね!」と清水さん。佐世保中央駅から四ヶ町アーケードに出てすぐ、「あのマクドナルド、佐世保ならではの表示があるのですがわかりますか?」とクイズが。入り口をよーく見ると、「あ、ドルのレート表示がある!」。アメリカ海軍佐世保基地があり、外国人の多い町ならではの風景だ。
案内の途中、清水さんから佐世保玉屋にある〈ラビアンローズ〉さんのサンドイッチの差し入れが。「早く飲みたいというお客さんの時は、歴史の話を手短にしたりね!ハハハ」なんて、佐世保のまち気取らず気さくに接してくれる清水さんのガイドに、自然と気持ちもほぐれてくる。佐世保公園で名物サンドを嬉しくほおばりながら、佐世保の歴史や文化の話に耳を傾けるひととき。「佐世保はその昔、人口数千人の小さな寒村でしたが、明治時代に入り鎮守府(日本海軍の根拠地)が置かれ、急速に発展しました。現在は日本一長いアーケードで賑わう市街部ですが、第二次世界大戦時には、大空襲で焼け野原になったんですよ」と、古写真を片手に語る清水さん。公園から、佐世保川を挟み、対岸に輝く佐世保の街。その歴史にしばし想いを馳せた。
ドキドキ、たのし、 バーめぐり
「旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館」や佐世保橋などをめぐり、いよいよ外国人バーへ。一本裏通りに入るだけで、がらりと表情が変わる夜の街に思わずドキドキしてしまう。「外国人バーと言っても、オーナーさんや店員さんは日本人の方がほとんど。もちろん日本語もOKです。ガイドツアーでは、信頼できるお店に案内するので、安心してくださいね」と、最初に訪れたのは〈グラモフォン〉さん。店は既に外国人のお客さんでいっぱいで、壁一面に、サインやメッセージの入ったドル紙幣が貼り付けられている。飛び交う英語と陽気な笑い声…外国人バーってこんな雰囲気なのか~とキョロキョロ、興味津々。「入ってみると、意外と大丈夫でしょう?」と笑う清水さん。ハロウィン仕様でポリスに扮したお店のお姉さんも気さくに声をかけてくれ、同じく仮装をした隣のお客さんも、快くカメラの前でポーズをとってくれる。むむむ、ここで英語がスラスラと出てくれば…と悔やみつつ、充分に雰囲気を満喫。清水さんの粋なはからいでドル紙幣にサインを残し、壁にペタリ。初体験の外国人バーを後にした。
バーめぐり お次は佐世保を代表するジャズスポット〈いーぜる〉さんへ。残念ながらこの日はライブは無かったが、壁面にずらりと並ぶレコード(その数4000枚以上だそう!)や、カウンター越しに見える佐世保の夜景が何ともいい感じ。清水さんとマスターと他愛のない話に花を咲かせ、ゆったりとジャズの音色を楽しむ…。ライブは週末などに開催しているそう。次回は生演奏を楽しめるときにお邪魔したいナ。
さてさて、時刻は10時過ぎ。通常のナイトツアーはここまでだが、最後に清水さんお気に入りの老舗喫茶〈壺中居〉さんへ。マスターはローリング・ストーンズ好きとのことで、店先にもお馴染みの舌のマークが。程よい暗さの店内には、浮世絵あり、横尾忠則のポスターあり。謎のオブジェやアンティーク品の中に、さりげなく、エドワード・ゴーリーの絵本があったりね!素敵!
「基地があるというだけでマイナスイメージを抱く人もいるし、難しい問題ももちろんある。でも、お互いの文化や意見を尊重しながら、長い時間をかけて友好的な関係を育んできた。街をガイドしながら、そんな佐世保の歴史も伝えられたら」と語る清水さん。国を超えた人と人とのふれあいが、街のバーで何気なく交わされるということ―その意味を想うとき、佐世保の街の魅力に、また一歩近づく気がする。
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