どんなに着飾っていても汚れた靴では台無し。けれども、ラフな格好によく手入れされた素敵な靴を履いていると、それだけでぐっと心を奪われたりする。毎日を共にする物なのに案外おざなりに扱ってしまいがちで、すぐに目が行く場所でもないけれど、だからこそ丁寧に手入れが行き届いた靴は、人を嬉しい気持ちにさせる。
そんな靴の手入れが楽しみになって、何年も何年も大事に履き続けたくなる相棒のような一足が、雲仙市国見町のちいさな工房で日々生まれている。〈BOOMER〉という店で作られるその靴は、ゆっくりと時間をかけて育ててほしいという想いから〈sLow〉というブランド名がつけられた。工房にはたくさんの木型や大きな一枚革、ひとりひとりの足に合わせたオーダーシートや靴づくり専用のミシンなどが並ぶ。つくり手の福田さんは、オーダーの主を思い浮かべながら毎日革を切り出し、木型に沿って形を整え、一足一足を縫い上げてゆく。素朴なハンドメイドというよりは、きちっと丈夫で壊れない堅牢な靴づくりを目指しているという福田さん。10年後も履けるようにと、デザインも飽きのこないベーシックなものが主流だ。それでもやっぱり大量生産品に無い手づくりの魅力が溢れるのは、その少しぼてっととしたゆるいフォルムや味わいのある手染め、かわいらしい尻尾にも見える後ろにぺろりと飛び出た革などの〈sLow〉らしいディテールのせいかもしれない。
手入れさえきちんと行えば長く付き合うことができる革の靴。どんどん履きこむほどに、自分だけの大切な一足に育ってゆくはずだ。
つくり手:福田哲哉 FUKUDA TETSUYA
雲仙市生まれ。以前はスニーカーを扱う靴屋として営業していたが、婦人靴の工場で靴づくりを学び、革靴の生産を始める。平日は朝から晩まで雲仙の工房で靴を作り、休日はショップで販売を行っている。
Shoes Shop BOOMER
福田さんが手がける"sLow"ブランドの革靴はもちろん、ハンドメイドの革小物などが並ぶ。日・月・祝日のみ営業。詳しい営業日についてはブログで確認を。 http://slowshoe.com/
・写真の白い革靴 25,800円 (通常革底で納品。底にゴムを張る場合はプラス2,100円)
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