ながさきプレスWEBマガジン

  • Vol.06 Kiiroの木の道具

     黄色と木色―。その自然が生みだすやわらかな色の名を屋号に、家具づくりをする夫婦がいる。対馬の家具製作所〈キイロ〉の阿比留恭二さん・優子さん夫妻だ。

     学生時代に建築や家具製作の基礎を学び、福岡県・大川での修業を経て、恭二さんの故郷・対馬に製作所を構えたのは4年前。手がける家具や生活雑貨は、主に地元の「対馬ひのき」で作られ、木の色や木目、あたたかい風合いを残すため、ほとんどをオイルで仕上げる。現在日本では林業が衰退し、スギやヒノキの人工林の荒廃が問題となっているが、二人が対馬ひのきを用いるのも、木そのものの魅力はもちろん、対馬の森を守りたいという思いが、大きな理由となっている。

     そんなキイロの二人と、同じく対馬出身のデザイナー・中庭日出海さんが共に立ち上げたプロジェクトが、今回紹介する〈siso〉だ。「家具・道具として生活をより良いものにしつつも、必要以上に主張せず、しっかりとそこに存在していけるものを…」という思いで作られる商品たち―三角形の鍋敷きに、持ち手側だけ丸みを帯びた箸、パンや果物などどんなものでも受け入れる懐の広いトレーなど。それらは一見単純なつくりに見えるが、木と木の接合部の丁寧な処理や、角のないなめらかな手触りなど、実際に使い始めると、細部にいきわたる小さな(しかし重要な)心配りに、ふと気がつく。まさに、「主張せず、しっかりとそこに存在するもの」を体現する道具たち。それは、自分で使うのはもちろん、大切な誰かにそっと贈りたい…、そんな静かな感動を呼び起こしてくれるはずだ。

    つくり手:阿比留恭二 ABIRU KYOJI / 阿比留優子 ABIRU YUKO
    2008年、対馬で家具製作所〈キイロ〉を開業。ほとんどの家具がオーダーメイドで、一点一点丁寧に作られる。木のぬくもりを活かした、シンプルで長く使い続けられる家具に島外からの注文も多く、現在受注から引渡しまで半年近くかかるほど。朝から晩まで家具づくりに明け暮れる日々だが、その達成感は何物にも変えがたいと語ってくれた。

    Kiiro
    商品の詳細・問い合わせ・注文はHPから
    http://ki-iro.jp/
    http://www.siso-life.jp/ (siso)
    ・多目的トレー/深型」7,000円
    ・「箸」1,850円、「箸置き/4個セット」1,200円
    ・「鍋敷き」4,700円

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