ながさきプレスWEBマガジン

  • 久賀島の集落と旧五輪教会堂(五島)

    キリシタンの歴史と想いを今に伝える
    キリシタンの歴史と想いを今に伝える

     久賀島の集落は、平成30年に世界遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつ。人口は310人余り。小さな島にも関わらず、水が豊かで米作りが盛んだ。島を訪れた8月上旬、早いところでは、すでに稲穂が黄色く色づき始めていた。お盆の前後には稲刈りがはじまる。本格的な台風シーズンの前に稲刈りを終えるための工夫だ。
     久賀島の潜伏キリシタンは、江戸時代に外海地方から移住してきた。在来の仏教集落とは離れた沿岸沿いの狭い土地に集落をつくり、仏教徒と農業や漁業を共にしながら、秘かに信仰を受け継いできた。明治初期には「五島崩れ」と呼ばれる、厳しい弾圧があった。明治6年の解禁後、カトリックに復帰し、各集落に教会を建てていった。
     明治14年、「旧五輪教会堂」は、久賀島で最も早く浜脇集落に建てられた。昭和6年、浜脇教会の建て替えに際し、現在の五輪集落に移築された。外観は日本建築で、アーチ型の窓が特徴的だ。内部は、三廊式のリブ・ヴォ―ルト天井(こうもり天井)で、明治時代の大工たちの苦心を覗かせるつくりとなっている。

    profile
    矢口 美保子 五島市在住。趣味は、茶道と読書。「軽自動車のマニュアル車に乗っています」と言うと、ほとんどの人が驚くという。高校時代の剣道仲間からの突然の電話により、島のコラムを書くことに。これには、本人が一番驚いているのだとか。

    *ながさきプレス2017年10月号掲載

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