日本一、島が多い長崎県だから
島旅上手をめざすべし
魚、海、自然、歴史 はるばる渡る目的は?
長崎県の島の魅力を伝えるために、考えぬいた福山雅治さんは、「島」になりました。衝撃の島PRムービーがちょっと前に話題になりましたが、ご覧になりましたか?いや。はや。人々は、福山岩を見るために壱岐にいくのかな。福山島を見るために対馬にいくのかな。福山海を見るために五島にいくのかな。いってほしいけれど。
長崎県内の島の数は、971なのだそうです。そしてそれは日本全国にある島の数の14.2パーセントなのだそうです。有人島の数も面積も日本一なら、離島定期航路の数も日本最多。とにかく、島を楽しむならば長崎にいくしかない。島旅の面白さならば長崎はどこにも負けません。
透明度の高い海。ダイナミックな自然。鮮度抜群の魚。人は何を求めて島に行くのか?目的はそれぞれですが、近年ぐっとクローズアップされているのが、潜伏キリシタンの暮らしや教会をめぐる歴史旅でしょう。ただ、何の予備知識もなく足を運ぶと、アクセスが限定されているだけに時間に追われ、バタバタでキッツキツなスケジュールをこなすだけで疲弊してしまうリスクがあります。島旅のキモは集中力。そのための予習は必須です。
パライソの島を訪ねる
国境の物語を知る
五島市から船で渡る久賀島は、パライソ(天国)に一番近い聖地ともいわれるキリシタンの島です。ユネスコの世界遺産登録を目前にした「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ、旧五輪教会もあります。この島のキリスト教墓碑の調査報告書『復活の島』(大石一久と久賀島近代キリスト教墓碑調査団編著)は、1冊まるごと久賀島。禁教が解かれるきっかけともなった「牢屋の窄」事件をはじめ、島の自然や風土、信徒の暮らし、旧五輪教会が保存されるまでの顛末まで。島に残る墓碑の地道な調査を基盤にネットワークを駆使した濃厚な内容となっています。
範囲をもっと五島列島全体に広げて、教会だけでなく食も遊びも欲ばりたい、となれば『長崎游学11五島列島の全教会とグルメ旅』がお手軽かな。美味しい店情報やお土産案内も網羅しています。
世界の記憶として認定された対馬の朝鮮通信史ならば、『十二回の朝鮮通信史』(志岐隆重著)を読めばさらに深く知ることができます。江戸時代のニセの国書とその返還などドキュメントタッチで、国境の島のリアルがせまってきます。
スポット的に歴史を掘り下げた『旅する長崎学』の海の道シリーズは、11で壱岐、12で対馬、13で五島列島、14で平戸・松浦、そして15は100の島を一挙紹介という恐ろしく手間隙のかかる仕事をしております。常に台風や低気圧によるスケジュール変更と隣り合わせの島取材、ここまでまとめるのはさぞ大変だったことでしょう。
西の端にある長崎の、そのまた海の向こうにある島ならではのハンパない「はるばる感」は今も昔も変わりなく、どっぷり浸かれば、リフレッシュはお約束。
いい季節になりました。ずっと行きたかったあの島へ、今年こそチャレンジしてみてはいかがでしょう。
文・川良 真理
〈長崎文献社〉副編集長。
中通りの〈長崎文献社〉アンテナショップ書店「ブック船長」にも時々出没します。
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