ながさきプレスWEBマガジン

  • 「移植医療」を考えるstartin’ 座談会

    移植医療のこと知っていますか?

    「移植医療」って、言葉では知っていても実際に知っていること、少なくありませんか?

     

    専門家たちの話を聞いて、ちょっとだけ「移植医療のコト」と距離を縮めてみよう!

     

     

    現場のハナシ

    移植医療に関するそれぞれの現状と関わり方は?

    長崎大学病院 高度救命救急センター
    教授 田﨑 修先生

    救命救急センターの中でも高度な診療機能を持ち、特殊疾病患者を受け入れることが多い高度救命救急センターをまとめるセンター長。搬送される心肺停止患者の中でやむなく助けられなかった患者さんの家族へ、臓器提供の機会があることを伝える役割も担っている。

     

    Voice / 田崎 修先生

    私の仕事は、「緊急に搬送されてきた患者さんを治療すること」が主です。常に命を救うために最善を尽くして動いていますが、どうしても助けることができないこともあります。脳死状態を確認し、患者さんのご家族へ臓器提供の機会があることを伝えることも、私たちが担っている仕事の一つです。特に緊急患者の場合は、ご家族にとって突然ショックなことが起こっているので、その心情に寄り添う、気遣いを忘れないことを心がけています。現在は、患者さんが臓器提供の意思表示をしていない場合、ご家族が承諾すれば臓器提供できるようになっているので、しっかりした説明が必要です。


    長崎大学病院 移植・消化器外科
    教授 江口 晋先生

    膵臓、肝臓などの消化器を専門とし、移植外科としてもレシピエント側に立った医療活動に貢献している。2012年には移植・消化器外科の教授に就任。日本移植学会や日本再生医療学会の理事も務めているなど、現在も精力的に活動を続けている。

     

    Voice / 江口 晋先生

    私たちの役割は、ドナーさんのお気持ち、そして臓器そのものをレシピエントさんへとつなげること。摘出・移植の手術で、「命のリレー」を行うことです。一人の命から渡せる臓器は最大9種、9人分。角膜などを含めると、多くの患者さんの希望や可能性につなげられるのです。これまで300例以上の移植に携わってきましたが、田﨑先生たちのようなドナー側の医師、医療スタッフ、検査施設、行政や空港、警察など、多くの人たちの協力があって成り立っています。どの医療もそうですが、特にチームプレイが重要です。


    長崎県健康事業団 長崎県臓器移植コーディネーター
    竹田 昭子さん

    各都道府県に1名は配置される必要があるという臓器移植コーディネーターの長崎県唯一の担当者。患者家族に説明を行い、臓器の提供から移植までをスムーズに行えるように調整。医療機関や一般市民への移植医療への理解を深めるための普及啓発活動も行っている。

     

    登場ワード辞典

    ■ドナー
    臓器の提供者。亡くなった人からの臓器提供による移植には、脳死

    の人からの提供と心臓が停止して亡くなった人からの提供がある

    ■レシピエント
    ドナーから臓器を提供されて移植を受ける、もしくは受けた人のこと。亡くなられた人からの臓器提供による移植を希望する人は、日本臓 器移植ネットワークに登録されている

    ■臓器移植コーディネーター
    臓器提供を考える家族に説明を行い、提供から移植がスムーズに運ぶよう調整する橋渡し役。移植医療についての普及啓発活動も担っている

     

     

     

    臓器移植って、どういった流れで進んでいくのですか?

    まず、臓器移植でないと助からないという患者さんが多くいる、という背景があります。

     

    臓器を受け取る側「レシピエント」は、臓器・病状に合わせて、日本臓器移植ネットワークで登録されています。臓器を提供する人は「ドナー」と呼ばれ、脳死を含め、お亡くなりになった人から提供を受けます。提供の意思があるドナーがいて、適性が合った場合、移植となります。

     

    田﨑先生たち救命センターの先生たちが、ご家族への病状の説明の際、今後の選択肢の一つとして「臓器提供もある」というお話をされます。臓器提供について詳しい話を聞いてみたいと言う申し出があった場合、私たちコーディネーターが病院へ伺い、ご家族に説明します。

     

    お亡くなりになった方からと健康な人からの提供は、どちらが多いんですか?

    欧米では、脳死の臓器提供の方が多いです。日本でも脳死の臓器提供は少しずつ増えていますが、今も年間で100~120件程度。生体移植に頼っている現状です。しかし、生体移植は健康なご家族にメスを入れるため、ドナーの負担が大きくなってしまいます。

     

    ドナーの条件って、あるのですか?

    がんや全身性の感染症で亡くなられた場合には、臓器を提供できないこともありますが、実際の臓器提供時に検査をして医学的な判断をします。臓器が提供されると、各臓器ごとの「レシピエント選定基準」によって該当する患者さんが選ばれ、その中から優先順位によって決定されます。レシピエント選定基準は、厚生労働省の厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会で決定されています。

     

    私たちが、今やれることってなんでしょうか?

    まずは、考えるきっかけを持ってほしいですね。臓器提供に賛成でも反対でも構いません。興味を持って、ご家族やご友人と話をしてほしいです。健康保険証や運転免許証にも臓器提供に関する意思表示を表せる欄があります。

     

    生前にご家族で話しておく機会って「縁起でもない」と、なかなかできないことが多いでしょう。ですが、逆に意思表示が見つからないと「どうしてあげればいいのか」とご家族はすごく悩み、苦しまれることが多いので、ぜひ話す機会を持っていてほしいですね。

     

    意思表示するのって、意外とハードルが高いんですよね。実は、パソコン、スマートフォンからも意思登録※することができますので、インターネットなども気軽に活用してみてください。

     

    ※日本臓器移植ネットワーク 臓器提供意思登録サイトを参照

     

     

     

     

     

     

     

     

    備考

    公益社団法人日本臓器移植ネットワーク

    https://www.jotnw.or.jp/

    お問い合わせ

    臓器移植に関するお問合せ

     

    公益財団法人 長崎県健康事業団

    諫早市多良見町化屋986-3

    TEL:0957-43-7131

    FAX:0957-43-7138

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