今月のお悩みは…
飲み残しの処方薬は、保管してまた体調が悪くなったら飲んでもいいですか?
<回答者>
水野 和美先生
丸一薬局長崎市薬剤師会理事。長崎大学薬学部を卒業後、14年前に薬局を開設。地域に根ざした薬局として、禁煙サポート、呼吸法指導、認知症カフェ、学校薬剤師などの活動を行っている。
飲み残した薬を飲むのは大丈夫なんですか?
水野 正しい効果が得られる保証はありません。まずは、かかりつけの薬剤師に相談してみてください。人によって症状も薬もさまざまですし、その飲み残した薬がいつのものなのか、どんな効果を及ぼす薬なのか。専門的に判断してもらうことで、より安心・安全に服用を続けていただけます。
そして私たち薬剤師は、そもそも余るように薬を渡すことはありません。今のあなたに必要だという量を渡しているので、薬が残ってしまった理由も含めて相談してもらえたらなと思います。
薬が余ると、どのような危険性があるんですか?
水野 もしそれが毎日飲む薬だった場合、次に診察したときに医師は薬を飲んでいる前提で体の状態を確認します。「きちんと飲んでいるのに効果がない」となれば、より強い薬が処方されてしまうかもしれません。さらに自宅に薬がずっと残っていると、家族や自分自身の誤飲にもつながってしまいます。
大切なのは、正直に相談することです。例えば、薬が大きくて飲みづらい場合は、粉薬や水のいらない錠剤に変更できることもあります。ほかに、種類が多くて飲み方が複雑な場合は、わかりやすく1回分ずつパックしてお渡しすることもできます。気軽に聞いてもらえれば、私たち薬剤師はいろんな提案もできるんです。
実際に余った薬はどうすればいいんですか?
水野 かかりつけの薬局までまとめて袋に入れてお持ちくだされば、使えるものと使えないものの仕分けをしてもらえるんです。
保管状況や期間によって薬の効果が失われる場合もありますし、ご家庭で処分しづらい薬もあるかと思います。使用できないものはこちらできちんと処分します。使用できるなら、処方医と相談の上、数を調整すれば窓口での負担も減らすことができます。また、お薬の量や回数を見直して、処方内容そのものが変わる可能性もあります。
薬剤師さんには、どんなことを相談すればいいんですか?
水野 何気ないことでいいんですよ。私たちは薬の専門家なので、もちろん症状を改善する薬のお話をします。でも実際は、薬だけに頼らずに自分自身の生活全般を見直すことも大切です。そのお手伝いができたらと思いますが、関係性が築けていないとプライベートな生活のお話はできません。普段から気軽に通って相談してほしいんですよ。そうした世間話から健康へのアドバイスにつながるかもしれません。単なる薬の交換所ではなく、もっと身近な存在なんだと知ってもらいたいですね。
・自分の判断で余った薬を飲むと、 正しい効果が得られないだけでなく害になることも
・余った薬を袋に入れて薬局に持参すれば、整理してくれる
・薬を含め、生活全般についてかかりつけの薬剤師に相談を
水野先生からのワンポイントアドバイス
どんな薬をいつ処方されたのかを記録しておく「お薬手帳」。最近は、無料の携帯アプリで記録することもできるんですよ。以前の処方内容が把握できれば診療もスムーズにいきますし、飲み合わせで影響が出るのを予防することもできます。理想的なのは、紙の手帳とアプリの併用です!
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