3/10(土)に公開される「坂道のアポロン」。「アオハライド」や「くちびるに歌を」といった、長崎を舞台・ロケ地にした作品を手がける三木孝浩監督、知念侑李さんや中川大志さん、小松菜奈さんなど豪華キャストで贈る青春映画です。そして、さらに!この作品の舞台が佐世保で、原作マンガを描いた小玉ユキ先生も佐世保市出身ということをご存知ですか?
今回はそのマンガ「坂道のアポロン」の小玉ユキ先生に、作品のこと、そして実写映画についてお話を伺いました!
・「坂道のアポロン」は佐世保が舞台ですが、佐世保出身の小玉先生の体験が題材に反映されていたりするんですか?
土地勘など、リアリティを持たせたいと思って、慣れ親しんだ場所を題材にしたんです。「この子たちが上っている坂道を、自分ものぼったことがあるものだったら描きやすいな」とか、「坂道を下りてしばらく行ったら商店があって、レコード屋さんがあって」……みたいな。(舞台背景が)60年代ということもあって、過ごした時間も違いますし、自分の体験を色濃く反映させたわけではなかったですが、体感として「この坂道がキツいのは知ってる!」みたいなのはありましたね(笑)
・今回の実写映画化について、どういった作品だと感じていますか?
映画として、“最高のカタチ”にしていただけたなと思っています。単行本9巻分の長さを2時間にまとめるためには、話の設定を変えたりとか、切ったりつなげたり大変だったと思います。でも、映画単品として観た時にしっかりまとまっていて、なおかつ私が描きたかった部分を全部とらえてくれていて。あと、音楽が……マンガで音を表現するのには限界がありますが、ちゃんと音にして、生身の人間が練習して弾いて表現してくれているところは、本当に感激しちゃいました。演奏シーンを観ているだけで涙が出るくらいによかったです。
たぶん、私以外にも映画を観て、それを感じてくれる人はきっとたくさんいると思うので「原作が好き」って言ってくれるひとは、ぜひ観てほしいです。
・確かに、異なるメディアになることで、作品が別方向で成長していってる部分はありますよね。そういった部分で先生が思う“見どころ”はどこですか?
アニメで一回「音」にはしてもらっていますが、音を楽しむといった点では「映画」と「アニメ」どちらが良いかということではなくて……。どちらもすごく魅力的な「音」にしてくださっているので、そこを楽しんでほしいですね。映画では、生身の人間が演奏するという「迫力」があるので、そこにも注目してほしいですね。マンガを描いてても、「こう弾いてるんだけどな」といったところをなかなか伝えられなくてもどかしかったんですけど、「実写ならこんなに表現できる」っていうことや、私の頭の中で想像できていなかった動きとかも見えるようになったり、本当に感激できるんです。監督やキャスト、スタッフさんたち皆が、この映画のためにがんばってくださってくれたことが、嬉しいですね。
・三木監督は長崎を題材としたりロケに使ったり*といった作品が多いですが。
*2015年公開「くちびるに歌を」は五島列島が舞台。撮影も五島列島を中心に全編長崎県で行われた。2014年の「アオハライド」は、主人公たちの修学旅行先が長崎という設定。
特にそういう話はしていなかったんですけど、たまたまですかね。「長崎だから」っていう理由ではないようですが、長崎の映画を多く撮ってらっしゃったので、慣れているかなって感じはしましたね(笑)
・キャストでは、特に中川大志さん=千太郎がドハマりだったと思いました。
ドハマりですね(笑)
・はじめに、ビジュアルで見た時、「本物の千太郎だ!」って心が震えました。
千太郎をできる人はいないと思っていたので、私も本当にビックリしました。誰が演じても、絶対違和感が出ると思っていたんですけど、ちゃんと「千太郎」になっていて。その上ドラムもしっかり叩けるんだから、なんだか夢みたいですね。
・出演者のみなさんの印象は?
撮った後に知念さんとちょっとだけお話ししたり、撮影現場にお邪魔したりしたくらいで、まだあまり深く話したわけではないです。でも、みなさんが的確に演じてくれて、薫(知念侑李)・千太郎(中川大志)・律子(小松菜奈)の3人が本当に仲良い感じとか、それを見るだけで満足でした。ちゃんと、作品で私が描きたかった部分をくみ取って演じてもらえていると感じているので、「特に言うことはないです」という感じです(笑)
・長崎の方に、観ていただきたいポイントはありますか?
方言がしっかりできているので、長崎の人にも親しんでいただけると思います。(「坂道のアポロン」の)モデルになった高校出身の、この年代に青春を送って喧嘩も強いという(笑)、声優の宝亀(克寿) さんが、アニメの時から方言指導をしてくれているので、そこは心配なかったですね。脇役のキャストまで「なんでみんなそんな上手なの?」って思うくらい(笑)
あと、長崎市でもロケやったんですよ。淳兄がBARで歌うシーン。場所は言わない方がいいかな(笑)。探してみてください。
・最後に、一言メッセージをお願いします。
本当にいい映画になりました。マンガの実写化って賛否分かれることも多いですが、「坂道のアポロン」に関しては私が保証するので、ぜひぜひ観てみてください!
映画の方から入った方は、原作も読んでいただいて。原作は、私が描きたかったエピソードが全部入っているので、マンガを読むと、それぞれのキャラクターを深く掘り下げてて、いろんな理由・背景がわかるようになっているので、2度楽しんでいただけるのではないかなと。
・映画とマンガ、お互いを補完するような感じですか?
そうですね。どっちから入ってもいいので、どっちも楽しんでもらいたいですね。映画を観てからマンガを読めば「音」も聞こえるようになると思うので、ジャズに詳しくなくても「あのシーンの、あの曲か」といった感じで。ジャズにも親しんでいただいて、さらに分野を広げて親しんでいただければ、もっと楽しくなると思います。映画と原作が共鳴して、「坂道のアポロン」という音色が広がっていけば、嬉しいです。
映画「坂道のアポロン」
3/10(土)公開
【 監督 】 三木孝浩 【 原作 】 小玉ユキ 「坂道のアポロン」(小学館「月刊flowers」FCα刊)
【 出演 】知念侑李/中川大志/小松菜奈
真野 恵里菜 / 山下 容莉枝 松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.) 野間口徹
中村梅雀 ディーン・フジオカ
(C)2018 映画「坂道のアポロン」製作委員会 (C)2008 小玉ユキ/小学館
配給: 東宝=アスミック・エース
3月10日(土)全国ロードショー
【 劇場 】TOHOシネマズ長崎、佐世保シネマボックス太陽、ユナイテッド・シネマ長崎
小玉ユキ
長崎県生まれ。
2000年にCUTiE comic(宝島社)にて「柘榴」でデビュー。
2007年~2012年に「坂道のアポロン」を月刊flowers(小学館)にて連載し、第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。
2013年~2017年には同誌にて「月影ベイベ」を連載した。
小学館fcαより単行本「ちいさこの庭」「宝石箱 小玉ユキよみきり集」2冊同時で発売されている。
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