「長崎カステラ」を次世代へ
銘菓の持続可能性を高める取り組み
有限会社和泉屋
伝統の味・カステラで行うSDGsへのチャレンジ
〈和泉屋〉の創業は、1956年。
この地に息づく長崎カステラの老舗と比較すればまだまだニューウェイブかもしれないが、新しいチャレンジと気骨にあふれ、連綿と続く長崎文化のつなぎ手のひとつであることは間違いない。
その活動はカステラの製造・販売・普及に尽力しているだけでなく、長崎ちゃんぽん・皿うどんなどの麺類や冷凍食品の販売、産地直売店・レストランの運営など、地元の食文化や食材を使った「長崎の食」全般に深く関りを持っている。
そんな〈和泉屋〉が取り組むSDGsは、もちろん「食」を提供する企業ならではのこだわりと矜持が。
SDGsが本格的に盛り上がりを見せる数年前から、「カステラ屋としてできることは?」というテーマをそれぞれに掲げ、答えを出してきた。
自分たちがやっている仕事の意義の意識付けにも役立ち、志望する新入社員の多くからも職場選びの要因に大きく関わっていると実感しているのだとか。
「食」をテーマにアプローチするSDGsの取り組みとは
〈和泉屋〉のSDGsの取り組みとしてまず挙がるのは、地元食材に関すること。カステラに使う卵は島原半島産を中心に、新鮮野菜や魚介を取り扱う産直店〈とれとれ旬家〉などでは地産食材を積極的に採用することで、フードロス問題やエシカル消費にも向き合っている。
また、カステラの包装資材にもこだわり、保存性を高く保つ工夫も行っている。
保存料・添加物は使わず、カビが増殖する原因のひとつである「酸素」がない状態を作ることで、30~60日は保存ができるのだとか。
体にもやさしいアプローチで賞味期限を延ばし、食品ロス削減にもつながっている。
長崎カステラを通じた「食育」で長崎のまちづくりにも貢献
もうひとつの大きな取り組みは「食育」。
長崎カステラの歴史や品質・味へのこだわりを伝え、〈長崎カステラランド〉では工場見学やカステラ作り体験ができるように整備したりと、学びの機会を創出。
もちろんそれは「食育」としても当てはまるが、同時に長崎の文化を知り学ぶことにも相当する。
長崎というまちを広くPRする手段としても、大いに役立っているのだ。
また、5月3日を「五三焼カステラの日」に登録し、長崎県内の中学3年生に五三焼カステラを無償配布。
県内の学生たちにも長崎文化を身近に感じ、歴史文化にふれる機会を生み出している。
これらの背景には、400年もの歴史を今日まで受け継いできた「長崎カステラ」を、さらに次の世代へとつなげていく、という使命感が隠されている。
本家・元祖ではなしえない新しい味やスタイルへのチャレンジも、自身の役割を深く理解し、文化継承のための行動へと移しているから。
つまり、すべては「長崎カステラ」という文化そのものを長く「持続可能」なものに育てていくという想いが織り込まれているのだ。
「これからも、できることは気づき次第取り組んでいきたい」と、SDGsに前向きな姿勢の〈和泉屋〉。
今年秋には、浜町の本店がリニューアル予定。
隈研吾氏デザインによる新しい店舗にも、SDGsを深く織り込んでいく予定とのことなので、ぜひ期待しておこう。
浜町・ベルナード観光通りに位置する〈和泉屋〉の本店が、この秋リニューアルオープン予定。日本を代表する建築家・隈研吾氏がデザインしたというこの新店舗にも、SDGsの取り組みが反映されていくのだとか。
名称 | 有限会社和泉屋 |
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お問い 合わせ | TEL:0957-36-2000 |
備考 | |
場所 | 雲仙市愛野町乙5864(本社) |
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